法定相続人
遺言書がある場合には、基本的には、遺言書に従って遺産を分けます。遺言書がない場合には、相続人全員が話し合って遺産の分け方を決めます。
では、相続人とは、誰のことを指すのでしょうか。
民法では次のとおり定められています。
相続人の範囲
死亡した人(被相続人)の配偶者は常に相続人となります。
配偶者以外の相続人については、次の順序で、配偶者と一緒に相続人になります。
第1順位 被相続人の子
相続人の子供が既に死亡している場合、その子供の直系卑属(子や孫)が相続人になります。
第2順位 被相続人の直系尊属(父母や祖父母など)
第1順位に該当する人がいない場合、被相続人の直系尊属(父母や祖父母など)が相続人になります。
父母も祖父母もいる時は、被相続人に近い世代の人が相続人になります。
第3順位 被相続人の兄弟姉妹
第1順位、第2順位に該当する人がいない場合、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。
その兄弟姉妹が既に死亡している時は、その人の子供が相続人となります。
家族の形は色々
内縁関係、事実婚
内縁関係、事実婚と呼ばれる形のパートナーは、被相続人の配偶者とはならず相続人になりません。
子連れ再婚
被相続人が、子供のいる人と結婚していた場合、その子供は被相続人の相続人にはなりません。

連れ子を相続人とするためには、被相続人と子供とで養子縁組をしておく必要があります。
被相続人の連れ子は、被相続人の相続人になります。

民法と相続税法
上記は民法で定められている相続人の説明なのですが、相続税法での扱いが異なる部分があります。
胎児
■民法
「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。」とされているため、相続人となります。
■相続税法
相続税の申告書を提出するまでに、相続人となる胎児が出生していない場合には、法定相続人の人数には入れないこととされています。
15-3 相続人となるべき胎児が相続税の申告書を提出する日までに出生していない場合においては、当該胎児は法第15条第1項に規定する相続人の数には算入しないことに取り扱うものとする。(平元直資2-207改正)
相続税法基本通達 15-3
出生後、胎児の相続分について相続税の申告を新たに行います。
また、胎児が生まれる前に相続税の申告を行った胎児以外の相続人は、更正の請求を行って納めすぎた相続税の還付をしてもらいます。なお、更正の請求は胎児が生まれたことを知った日の翌日から4か月以内に行わなければなりません。
第三十二条 相続税・・・について申告書を提出した者・・・は、次の各号のいずれかに該当する事由により当該申告又は決定に係る課税価格及び相続税額又は贈与税額・・・が過大となつたときは、当該各号に規定する事由が生じたことを知つた日の翌日から四月以内に限り、納税地の所轄税務署長に対し、その課税価格及び相続税額又は贈与税額につき更正の請求・・・をすることができる。
・・・
二 ・・・その他の事由により相続人に異動を生じたこと。
引用 相続税より
32-1 法第32条第1項第2号に規定する「その他の事由により相続人に異動が生じたこと」とは、民法第886条に規定する胎児の出生、・・・により相続人に異動を生じた場合をいうのであるから留意する。(昭39直審(資)30、昭57直資2-177、平17課資2-4、平25課資2-10改正)
引用 相続税法基本通達より
養子の数
■民法
養子の数に制限はありません。
■相続税法
法定相続人の人数に入れる養子の数に制限があります。
(1)被相続人に実の子供がいる場合 1人まで
(2)被相続人に実の子供がいない場合 2人まで
以下の場合は、養子ではなく、実の子供として取り扱われるので、全て法定相続人の数に含まれます。
(1)被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人
(2)被相続人の配偶者の実の子供で被相続人の養子となっている人
(3)被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人
(4)被相続人の実の子供、養子又は直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その子供などに代わって相続人となった直系卑属。
相続放棄
■民法
相続放棄をした人は、最初から相続人とならなかったものとみなされます。
■相続税法
相続税の基礎控除額を計算する基礎となる相続人の人数を算定する場合には、相続放棄がなかったものとされます。
相続放棄をした人が、生命保険金等や退職手当金等を遺贈により取得しても、相続人ではないので非課税制度を利用することはできません。
